旅するぽんきち♂

クライミングと食欲の狭間で苦悩するぽんきち♂の日記。

北アルプス大冒険 ⑤高天原山荘~水晶岳を経て三俣山荘【2022.8/12(金)】

<トラックデータ/コースタイム>

★8/12(金)5:30高天原山荘⇒9:48温泉沢ノ頭⇒11:00水晶岳⇒11:30水晶小屋12:30⇒12:54ワリモ北分岐⇒13:50黒部源流標柱⇒14:30三俣山荘 (TP積算距離10.08km)

 

本日の旅程は当初高天原山荘~雲ノ平を経るか経ないかして薬師峠へ向かうというものだった。しかしこのルートでは今日を含めても残り3日で室堂についてしまう。ということは14日に室堂着ということで、休みが16日までの我々は行き場を失ってしまうことにもなるのだ。なので予定を少し変更して、やっぱり行きたかった水晶岳へ温泉沢を経由して登ることにした。当然高天原山荘には電波は来ないので天気もわからない。

山荘の夜は快適だった。久しぶりに風呂に入って快適な布団でぐっすり眠れた。小屋迫をちょくちょく挟むのは悪くない。朝出発する周囲の音で目を覚まし、我々も出発の準備にかかる。昨日温泉沢を降ってきた若者曰く、10回ぐらいの渡渉とかなり急なザレ場があってなかなか歩行困難な道とのこと。

泉沢のルートは昨日入浴した温泉の真脇を沢筋に上がっていく。もう一回のんびり風呂に浸かりたいところだが、ここで入ってしまうともう動けなくなるので我慢。

登りはじめの下流域は大水の影響かかなり崩壊した箇所が多い。踏み跡はそれなりに明瞭だが、それでも急に渡渉させたり道を見失いかけたりすることがある。といっても基本的には沢筋を登れば迷うことはないのだが。

なかなか石伝いに靴のまま渡渉できる箇所が見つからず、このように靴を脱いでの渡渉を強いられる。思うように距離や高度があげられない。少し焦る。

10mほどの滝(ナメリの滝)が見えてくると左岸より尾根に向けて急登の巻道を這い上がるように登る。道はほどほど良い沢登りの滝巻道だが、それが延々ながいので大変。

滝巻道が終わると急登ザレ場の尾根に出る。ここから温泉ノ頭までが長い。また写真では判りにくいがかなりの急登、渡渉に始まり滝巻道からのザレ場急登、身も心もくたくたの上に雨は降る、風は吹く、雲は湧くという三重苦。ここの少し手前の沢の中で同じルートを下降してくる2人のトレランナーに出会った。このザレ場で一人が落石を起こして、パートナーの足に石が当たってレインウェアが破れていた。少しケガもしている様子。確かにここは登りより下りのほうがキツそうだ。

あと、その2人から聞き捨てならない情報が。なんと台風が発生しているというではないか?!そんな馬鹿なと思いながらも、彼らが泊まっていた小屋ではその話で持ち切り、13日に東海・関東に上陸するらしい、、て明日じゃん!彼らも今日双六まで行って、明日下山するそうだ。

やっとの思いで這い上がった温泉ノ頭。先ほどのトレランナーの話と、この真っ白でざーざー降りの雨でようやく我々の意思も固まった。もう降りようと。携帯がつながったので見てみたら、明日以降ずっと雨予報、特にこれから向かう薬師岳立山方面は悪い。ここまで槍ヶ岳から始まり双六岳、三俣蓮華岳黒部五郎岳、そして今日の水晶岳と、名峰のピークを今回の山旅で踏んできたが、一つも展望はなく雲の中。明日以降もこれが続くとなると意味がない。今日は歯を喰いしばって双六小屋まで向かい、明日新穂高温泉へ下山することにした。

まさに五里霧中。

例によって全く展望のない山頂。

f:id:tao_han_ten0829:20220816220719j:image山頂もそこそこに逃げるように水晶小屋へ。

シーフードヌードルとおでん。人生で一番おいしいシーフードヌードルだった。とにかく寒かった。ともすればカラダを持ってかれそうな強風と雨。登山とはかくもつらいものである。f:id:tao_han_ten0829:20220816220717j:image双六小屋まで行く予定だったが、夕方天気が好転しだした。鷲羽岳の山頂を三俣山荘から眺めたSNが瞳に涙を浮かべながら「登りたい」といったので、今日は三俣山荘にテント泊とす。f:id:tao_han_ten0829:20220816220723j:image鷲羽岳に走り出したSNを見送ってこっちはテント設営して飲んだくれ。遠くに黄色いザックをした赤いジャケットのマメタヌキが見える。ここでぽんきちダンスを踊る、雨よ降れ、風よ吹け、雲よ昇れ~

踊りが通じてしまった。SNごめん。

お詫びのしるし、炊き込みご飯。

明日は新穂高温泉へ下山。山の生活が終わるのがさみしいような、はやく降りて日常に戻りたいような。なにせ天気は悪い。

 

つづく。